◇ · Arc origines · 柱
二重抽出——なぜ一部のきのこは水とアルコールをともに求めるのか
熱湯はβ-グルカンを、アルコールはトリテルペンを溶かします。二重抽出はその両方を合わせるもの。そのつくり方と、霊芝とチャーガに用い、ヤマブシタケと冬虫夏草には用いない理由。
静かな王国——根、サルノコシカケ、菌糸。生きものの回復力を、毎日の手もとに。
きのこは成分を二つの場所にしまっています。細胞の壁には、熱湯に溶ける多糖類のβ-グルカン。脂質の構造には、アルコールにしか溶けないトリテルペン。霊芝のガノデリン酸、チャーガのベツリンやベツリン酸がそうです。
水で煎じるとβ-グルカンが出て、トリテルペンは残りかすに残ります。アルコールのチンキはその逆です。二重抽出は、この二つの工程を合わせるものです。
二重抽出のつくり方
- 煎じる:乾燥して砕いたきのこを、70〜80℃ほどの水で何時間もじっくり煮ます。こして液を取っておきます。
- 漬ける:こした残りかすを、数週間アルコールに漬けます。もう一度こします。
- 合わせる:二つの液を合わせます。パウダーエキスの場合は、そのあと全体を乾燥させます。
15:1のような比率は、エキス1をつくるのに乾燥きのこをいくつ使ったかを示します。
私たちのきのこでは
- 霊芝:子実体の15:1エキス、水とアルコールの二重抽出。トリテルペンはアルコールにしか移りません。
- チャーガ:8:1エキス、水とアルコールの二重抽出。宿主の白樺から受け継ぐベツリンは、アルコールにしか移りません。
- ヤマブシタケ:子実体の8:1エキス、熱水のみ。子実体で求める成分は水に溶けます。
- 冬虫夏草:菌糸体の6:1エキス、アルコールを使わずにつくり、水に完全に溶けます。
植物の根や葉や樹皮では、方法は植物ごとに違いますが、二つの溶媒という考え方は同じです。
注意点
自家製のチンキにはアルコールが含まれます。お酒を飲まない方、妊娠中の方、子どもには避けてください。
出典
- Christopher Hobbs, Medicinal Mushrooms: An Exploration of Tradition, Healing, and Culture, Botanica Press.
- 仕入れ先の技術資料:霊芝、チャーガ、ヤマブシタケ、冬虫夏草のエキスの抽出方法と比率。
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